シャーロッキアンの果てしなき冒険　 by 水野 雅士
２．ホームズ物語に出てくる主な登場人物の服装
2）女の服装

(3)えりまき、ショール類（boa, shawl）　
　　コート類を見たついでに、えりまきやショールを見ておきましょう｡　ホームズ物語に出てくるえりまきやショールには、たとえば次のようなものがあります。
　

事　件　名 訳語（原文） ページ 着　用　者
花婿失踪事件 大型の毛皮のえりまき
（a heavy fur boa） 		60 メアリ・サザランド＝依頼人
まだらの紐 ショールをはおり
（wrapped a shawl round me）		 297 ヘレン・ストウナ＝依頼人
海軍条約文書事件 ペイズリー織りのショールを
はおっていました。
（with a Paisley shawl）		 362 タンギー夫人（守衛の妻）
バスカヴィル家の犬 ショールをまとい
（in a shawl）		 160 バリモア夫人
（バスカヴィル家の執事の妻）
トール橋 肩にはショールをかけていて（with a shawl over her shoulders） 58 マリーア・ギブスン（依頼人の妻)
ショスコム荘 背中を丸め、顔や肩をショールでおおった（with rounded back and a huddle of shawls about her face and shoulders） 418 レイディ・ベアトリス・フォールダ
（じつはメイドの夫の変装）
　

　これらはいずれも以下のとおり挿絵で確認できます。

　
メアリ・サザランド
《花婿失踪事件》
Ｓ・パジェット画　		 ヘレン・ストウナ　
《まだらの紐》
Ｓ・パジェット画　		 ミセス・タンギー
《海軍条約文書事件》
Ｓ・パジェット画　　		 バリモア夫人 　
《バスカヴィル家の犬》
Ｓ・パジェット画　		 マリーア・ギブスン
《トール橋》
Ａ・ギルバート画		 ベアトリス・フォールダ
《ショスコム荘》
Ｆ・ワイルズ画
　なお、《ボスコム谷の惨劇》に出てくるアリス・ターナーや《トール橋》に出てくるグレース・ダンバー嬢も文章上に記述はありませんが、挿絵では右図に見るようにえりまき、あるいはショールをつけた姿が描かれています。
《ボスコム谷の惨劇》
アリス・ターナー
Ｓ・パジェット画　		 グレース・ダンバー嬢
《トール橋》
Ａ・ギルバート画